章 57

アレックスは私を小さな部屋へ案内してくれた。そこにはベッドと小さな整理だんす、それに鏡があるだけのシンプルな内装だ。パックの拠点の家が素朴なものだと思うかもしれないけど、そうじゃない。実際、この家具はアンティーク調で、私の家のものよりずっと素敵に見える。

彼は私のパンパンに詰まったバックパックを壁際に置き、部屋を見回した。後ろポケットに両手を突っ込み、かかとで軽く揺れ始める。「大したものじゃないけど、清潔だよ」

「完璧よ」

私はベッドに腰を下ろし、何度か弾んでみて感触を確かめた。アレックスはこれを誘いと受け取ったのか、私の隣に座った。またしても、触れてはこないけれど、触れようと思えば触れ...

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